記録と感想

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【考察】ハプニングバー

一歩足を踏みれると、そこは雰囲気のいいバーであった。

バーカウンターでカクテルを飲みながら話す男女。男性のスーツ姿は、会社で真面目に働いている様子を想像させる。

バーカウンターの左側は柔らかなクッションと小さなテーブルが置いてあり、フラットな空間になっている。そこでは、先ほどとは違う男女が2組、やや寄り添うようにしてくつろいでいる。

その奥にプレイルームがあるのが、他のバーと異なる点である。

 

市場調査、と言いながら私は数人に話を聞いた。

 

まず、ハプニングバーについてである。

ハプニングバーは店によりかなり色が違うそうだ。今回訪れた店は、比較的落ち着いており、ただ酒を飲み帰ることもあるのだという。しかし、上野のとあるハプニングバーでは、ポールダンスが始まったり、SM色がつよかったりと、実に多種多様なようである。

また、ハプニングバーでは、実名は使わない。必ずニックネームでお互いを呼ぶ。ただ、やはり界隈は狭いようで、客同士他の店で会うこともあるようだ。

 

ハプニングバーには、いくつかルールが存在する。実名で呼ばないのもそのうちの1つである。ほかに、プレイルームでセックスをしているカップルをのぞいてはいけない。(カーテンを閉めなければ普通に見えてしまうが。)もちろん、後から立ち入ることもできない。といったルールもある。ただ、プレイルームではないところでセックスをしている場合は覗く以前の問題なので適用されない。

 

ハプニングバーに通うきっかけも聞いたのだが、プライバシーに関わるような気もするので割愛する。

 

私が話を聞いていたカップルが、せっかく来たのだから見ていったらいい、ということで、セックスをしてくれた。プレイルームでのセックスだったため、直接見ることはなかったが、つい数分前まで話していた2人がカーテンの向こうでは、欲望を露わにし交わっていると思うと、複雑な気分であり、少しショックであった。そのショックを引きずりながら、2人のフィニッシュを見届けることなく、急いで店を後にし最終電車で帰宅した。

 

 

ハプニングバーとは、表の社会では出すことのできない自分の欲望を露わにすることができる場所なのではないか。または、本名を隠すことにより、普段の自分とは違うもう1人の自分になれる場所なのではないか。そんなことを最終電車に乗りながら考えていた。

 

女性の場合、自己の承認欲求を満たすためでもあるように思う。圧倒的に男性の方が多くなるハプニングバーでは、女性というだけでモテる。女性1人に男性3人もよくあるそうだ。特別なことはしていなくても、男性に声をかけてもらえる。彼女たちは簡単に承認欲求を満たすことができるのである。

 

ハプニングバーは、法律的にはグレーな場所かもしれないが、ある一定の人にとっては必要な場所なのかもしれない。

〇〇があるから仕事を頑張れる。

〇〇では本来の自分を晒け出せる。

誰もがそのような場所を持っていて、そこを居場所としている。ハプニングバーに通う彼らにとっては、たまたまハプニングバーがそのような場所であっただけなのだ。

 

ハプニングバーで、他人のセックスを目の当たりにするという経験は、正直良い経験とは言えなかったが、この軽い胸焼けのような気待ちを抱けたことは今回の収穫である。